最適な減量方法

年をとって、すごく太りやすくなってきたと感じることが多くなってきたので、原理について真面目に調査して、どのような減量方法が最適であるか検証しようと思います。

脂肪を1kg減らすためには?

純粋な脂肪1gは9kcalのエネルギーとなりますが、実際は不純物も含むので7.2kcal程度となるそうです。よって、7200kcalを余分に消費できれば、脂肪を1kg減らすことができます。現在体重が増えも減りもしていない場合は、食事で吸収するエネルギーと、生活で消費するエネルギーがバランスしてるということです。例えば1カ月かけて、1kgずつ自然に減量するためには毎日240kcal程度エネルギー収支をマイナスにしなくてはなりません。なお、それ以上のペースで摂取カロリーを減らすと、体が飢餓モードとなって、エネルギーを吸収しやすく、かえって脂肪を蓄積しやすくなります。さらに、筋肉が分解され後述する基礎代謝量が落ちるので、より太りやすくなりリバウンドのもとになります。

さて、1日の消費エネルギーは例えば体重70kgの人は2100kcal程度ですが、おおむね内訳は下記表1の様になっています。蓄積されてしまった脂肪を減らすには、食事で吸収するエネルギーを減らすか、生活で消費するエネルギーを増やすしかありません。特に消費エネルギーの大半を占める基礎代謝を増やす事が重要です。

表1. 1日の消費エネルギー.

消費タイプ 割合(%) 詳細
基礎代謝 60~70 体温維持や呼吸、内臓の働きなど
生活活動代謝 20~30 運動や入浴など
食事誘発性熱産生 10 食事中に生み出される熱

基礎代謝を増やすには?

1日の基礎代謝量は簡易的に下記の式で表せます。

基礎代謝量(kcal/日) ∝ 15*体重(kg)-12*体脂肪率(%)-7*年齢+20*体温(0.1℃)

厳密には基礎代謝量は年齢に反比例しますし、直線で近似できないのですが、大人になるとほぼ直線で近似できるので、上記の式は大人の男性の場合だと思ってください。基礎代謝量を増やすためには手っ取り早く言うと体重を増やすことが簡単なのですが、それでは元も子もありません。ただこのおかげで、人間は際限なく太ることはなく、ある体重まで増えたところで、基礎代謝量も増え、摂取カロリーとバランスして体重の増加が止まるという仕組みになっています。

この式の意味するところは、これまでと同じ食事をしていると、体脂肪率をキープしていたとしても基礎代謝量が減るので2歳年を取ると、体重が1kg増えるという事です。年齢で基礎代謝量が落ちていくのはどうしようもないので、太りやすくなっているのを認識して、年相応の摂取カロリーに減らすというのがベストです。ごはん1杯240kcal程度なので、10歳年を取ったら70kcal程度減らして、ご飯をお茶碗2/3にしましょう。

また、体脂肪率を改善する(筋肉を多くする)と基礎代謝が増えることがわかりますが、体脂肪率を1%改善すると12kcal代謝が増えます。これに伴い、体重は減少しますが、減量すると前述の通り基礎代謝量が減るので0.8kg程度減量したところでバランスします。

さらに、基礎代謝量の一番大きな因子で体温がありますが、体温が0.1℃上がれば20kcal代謝が増えます。これに伴い、前述と同様に1.3kg程度減量したところでバランスします。

逆に言うと、何らかの方法で2kgくらい減量したら、筋肉質にして体脂肪率を1%改善したり体温を上げておかないとすぐにリバウンドしてもとに戻ってしまうということでもあるので、減量するためのアイテムというより、リバウンドをしないようにキープするためのアイテムと考えた方がいいと思います。

体脂肪を効率よく消費するには?

体脂肪率を下げるためには、①体脂肪自体を消費するか、②筋肉量を増やすか、③水分を増やすかしかありません。しかしながら水分の最適量は決まっているので、増やすというより、代謝が円滑に行えるように水分補給をこまめにして、不足しないようにするというのが大事です。

体脂肪を効率よく消費するためには、代謝の仕組みを理解する必要があります。体脂肪はエネルギーの貯金であるので、なかなか使われ始めません。まずは現金である炭水化物や糖分由来の血中の糖質がエネルギーとして消費され、それらが使われたのち、その後にやっと体脂肪が使われます。しかもあまり激しい運動(無酸素運動)では体脂肪は使われず糖が使われるので、中程度の運動(有酸素運動)である必要があります。

有酸素運動の目安は、心拍数で知ることができ、220-年齢=最大心拍数として40%~65%の心拍数でキープする必要があります。ただし、体脂肪は、血糖値の下がっている空腹時や無酸素運動の直後であれば、すぐに使われ始めます。食後2時間は血糖値が高く、インシュリンが脂肪の分解を妨げるので運動を控えた方がよいです。参考に有酸素運動の消費カロリーの目安を表2に示しますが、1日の生活の中に30分程度の有酸素運動を取り入れれば、目標の余分な240kcalは消費できそうです。特に寝起きは空腹時であるし、体温をすぐに上げたいという目的のためにも、有酸素運動に絶好のタイミングです。

表2. 運動と消費カロリー.

運動 kcal/30分
はや歩き 120
ジョギング 240
自転車 240
水泳 300

また、体脂肪が使われる効率はリパーゼという酵素が活性であるほど上がるのですが、リパーゼを活性化させる方法がいくつかあります。❶有酸素運動を20分以上続ける事や、❷アミノ酸(アルギニン、リジン、プロリン、アラニン、L-カルニチン、オルニチン)を摂取する事、❸アドレナリンを分泌(筋トレ後やカフェイン、カテキン、カプサイシンを摂取)するなどです。また、リパーゼが活性になるには同時にカルシウムやマグネシウム、ビタミンB2が不可欠とのことです。ちなみに、せっかくリパーゼが活性になっている時に、お風呂に入って体を温めると、働かなくなるそうなので、運動後すぐにお風呂に入るのは良くないそうです。

筋肉を効率よく増やすには?

筋肉の量を増やすには、運動強度の強い無酸素運動が必要ですが、20回程度繰り返すのが限界なくらいの強度の負荷をかけるのが重要です。筋力がついて繰り返せる回数が20回を超えたら、負荷の強度を上げる必要があります。なお、手軽に負荷の強度があげれない場合は50回までは繰り返し回数を上げることも、負荷強度を上げたことと等価になるそうです。ただし、50回を超える回数をやってしまうと逆効果になるので、注意が必要です。なお、筋トレ前にストレッチをすることも逆効果になるそうなので、控えましょう。

また、筋トレのセット数は3~5分間隔の3セットが最適で、間をあけて週に2回程度の頻度がよいそうです。そして、トレーニングは夕食前に行い、トレーニング後1時間以内にタンパク質(アミノ酸)を約20g、就寝前に約40g、次の日の朝食で約20g、昼食で約20g摂取するのが最適とされています。なお就寝前に摂取するタンパク質は吸収の遅いガゼインが良いそうです。

さて、筋肉の70%は下半身にあり、腿の筋肉が最大の筋肉となるので、最も効率の高い筋トレはスクワットをすることです。時間がない場合はスクワットだけでも大きな効果を得ることができます。

体温を効率よく上げるためには?

体温は基礎代謝に一番大きな影響を与えますが、1日の中で変動しています。寝てる間も基礎代謝は継続されますが、起きている時より寝ている時は約1℃体温が低くなり、基礎代謝量が約8%下がります。よって、しっかりと朝、目を覚ましてすぐに体温を上昇させることが大事です。しっかり目を覚まし体温を上げるためには、①朝食をとる、②温かい飲み物を飲む、③朝日を浴びる、④ストレッチなどして体を動かす事が有効です。また、睡眠時間を削ったり、就寝起床のリズムが崩れたりすると、起きていても、体の活動が鈍く体温がなかなか上がってこなくなるので、⑤規則正しい生活も大切です。ちなみに体温を上げることで免疫力も上がるそうなので、病気になりにくくなるそうです。

さて安静時の25%、運動時の75%の熱は筋肉で作られるそうですが、上述の通り筋肉を増やすことや、定期的に動く事で体温を上げる事ができます。

その他の安静時の熱は、約50%が内臓(肝臓30%、腎臓10%、心臓10%)や約15%が脳で作られるそうですが、これらの働きを意識的にコントロールして、体温を上げることはできません。むしろ、睡眠や休息をしっかりとって、規則正しい生活をすることや、おなか周りを温かくするなどして、活動を低下させない事が重要です。

ストレスが溜まっている場合も、内臓の活動が低下するので体温が下がります。ストレスにも種類があると思いますが、①抗うつにはハーブの一種のセントジョンズウォート、②不眠にはテアニンやハーブの一種のバレリアン、③イライラには発芽玄米に含まれるGABAや、青魚に含まれるDHA・EPAが効果的との事です。

また、熱は褐色脂肪でも作られるそうです。褐色脂肪は赤子の頃は体温維持に大きな役割を果たすそうですが、筋肉の発達に伴ない、大人になると減少していき、首回りやわきの下などのごく一部分にほんの少し残る(たった40g)だけなので、体温への影響はほとんどないと考えてよいと思います。

体温を上げるには食事や飲み物も重要です。表3に代表的なものをまとめましたが、体温を下げるものもあるので注意が必要です。食べ物で体温を上げるものには寒冷地育ちで、地中に育つ根菜など、ナトリウムを含むもの、水分の少ないもの、暖色系のものが多く、下げるものには温暖地育ちて、地上に育つもの、カリウムを含むもの、水分の多いもの、白いものが多い様です。また、同じ体温を上げる群の中でも、水分が少ないものの方が効果が高いそうです。飲み物で体温を上げるものには発酵しているもの、下げるものにはカフェインを含むものが多い様です。なので、できるだけノンカフェインで発酵しているものが良いと思われます。なお、生姜は生ではなく加熱して乾燥させる事で、ジンゲロールという成分がショウガオールという成分になるので効果が高いそうです。

表3. 体温を変化させる食べ物・飲み物.

体温を上げる 体温を下げる
食べ物 大根、ニンジン、ジャガイモ、カボチャ、ゴボウ、レンコン、生姜、発酵食品、醤油、塩、味噌 トマト、キャベツ、レタス、きゅうり、ナス、ゴーヤ、バナナ、イチゴ、オレンジ、リンゴ、ナシ、スイカ、メロン、キウイフルーツ、豆腐、砂糖、酢
飲み物 紅茶、ウーロン茶、プーアル茶、ほうじ茶、黒豆茶、梅番茶、生姜湯、ゴボウ茶、シナモン茶、ココア、甘酒、白湯、ホット赤ワイン、日本酒  コーヒー、緑茶、牛乳、ジュース、ビール、白ワイン、焼酎、ブランデー

生活活動代謝を増やすには?

次に、一日の消費カロリーの中で2番目に大きい20~30%にあたる生活活動代謝も工夫して増やせないか検討してみました。表4は生活で消費するカロリーの概略です。残念ながら座っているだけでは、寝っ転がっているのと大差ないそうです。立つだけでも、座っているより30分間で20kcal多く消費するので、普段何気なくちょこちょこ座っているところを、合計1時間ぶん意識して立つだけで40kcal多く消費できます。また、階段を積極的に利用することで、合計10分程度で30kcal多く消費できます。

入浴やサウナはすごく汗をかくので、さぞ消費カロリーは高いんだろうと思っていましたが、歩くのとさほど変わらないそうです。むしろあまり長く入りすぎると脱水症状になったりするので、注意が必要です。ただ、最近は高温反復入浴というのが注目されているようで、普通の入浴より200kcal多くカロリーを消費できるそうです。水分をしっかり補給した上で、少し熱めの41℃~43℃のお湯に3分間肩までつかって、湯船から出て5分間休憩というのを3セット繰り返します。また、入浴後に体が冷えにくくすることも基礎代謝のアップに重要ですが、体の芯まで温める入浴剤を使い入浴し、でた後はストレッチをするのが有効です。ストレッチの際は冷え性に効果的なツボもマッサージするとよいそうです。

表4. 生活で消費するカロリー.

活動 kcal/30分
座る 40 (ほぼ基礎代謝)
立つ 60
歩く 100
階段 140
入浴 100
サウナ 120
高温反復入浴 300

食事誘発性熱産生を増やすには?

食事をすることでも、食べ物を咀嚼したり、胃腸で消化吸収するためにエネルギーを使います。1日3回食事をする場合、1日の10%程度のエネルギーを食事で消費するそうです。代謝の高い状態は、食後まもなく開始され、1時間後をピークとしてその後徐々に下がって5時間ほど継続するそうです。ですので、1日に食事が1回だけなどのように回数を減らしてしまうと、せっかくエネルギーを消費するチャンスが減るので、太りやすくなってしまいます。また、おなかが減り過ぎた状態でずっといると、体は筋肉を分解してエネルギーを使うので、筋肉量も減ってより太りやすくなります。さらに、一回の食事でドカ食いをしやすくなるので、そうなると血糖値が急激に上がってインシュリンが過剰に分泌されるため、血中の中性脂肪が多く作られ、脂肪をため込みやすくなってしまいます。

さて、食事によって摂取エネルギーの何%が熱になるかは栄養素によって次のように変わります。タンパク質30%、糖質6%、脂質4%。よって、甘いものや炭水化物を食べるよりも、赤身の肉やささみを食べる方が食事の際の体温上昇が大きくなります。

また、流動食ややわらかいものを食べるだけでなく、しっかりよく噛むことは咀嚼による産熱を増やすだけでなく、内臓の働きを活性化させるためにも重要です。特に、朝ごはんは、寝ている状態から、交感神経を刺激して起きている状態になるべく早く持っていきたいので、よく噛んで食べるものを摂る方がよいと思います。

さらに、食べる速度もかなり影響するようです。同じ食品を早食いした場合と、ゆっくり食べた場合で、後者の方が顕著に産熱が増えるそうです。よく噛むと、ゆっくり食べることにもつながるので一石二鳥ですね。

最後に、3食の食事をとる時間も産熱に影響を及ぼすようで、朝型の生活で朝、昼、晩と食事する場合に比べ、夜型の生活で昼、夕、深夜と食事をすると3割程度産熱が下がってしまうようです。やはり、正常なサイクルで食事を摂るのが大事なようです。

まとめ

以上をまとめて、1日の生活に落とし込むと、図1の様になります。

まず、寝る時間起きる時間は毎日決まったサイクルを守り、自律神経を安定化させます。次に朝すぐに体を起こし、体温を上げるために温かい飲み物を口にしてから、少しストレッチして、日光を浴びながら有酸素運動を20~30分行います。(空腹状態が最も脂肪燃焼効率が高いため。)その後、良く噛んでゆっくり朝食を摂ります。(内臓の目を覚まし、産熱を高めるため。)

通勤、仕事中は、なるべく立ったり階段を使うなりして運動を取り入れるだけでなく、体を温める部類の飲み物を飲んで、代謝を高めます。昼ご飯は規則正しい時間に、良く噛んでゆっくり摂ります。仕事が終わり、帰宅したら夕飯の前に、筋トレをするのがベスト。その後、良く噛んでゆっくり夕食を摂ります。

お風呂は高温反復入浴を実施し、出た後は入念にストレッチして体を温めます。寝るまでの間も体を温める部類の飲み物を飲んで、代謝を高めます。最後に、寝る時間はしっかり守って睡眠をとります。

図1. 最適な生活サイクル.